スワップポイントは売買した2カ国間の金利差で得られる利息。
当初、磯貝さんは円を売ってドルを買っていたのだが、実質ゼロ金利の日本に対して米国の政策金利は約1%。
100万円の元手に10倍のレバレッジをきかせて10万ドルのドルを買った磯貝さんの口座には、毎日300円ずつ入金があり、磯貝さんは驚くばかりだった。

さらに、為替相場が円安・ドル高に動いたことで為替差益も膨らんでいき、磯貝さんはFXにのめり込み、今度はポンドに目をつけるようになった。
1ポンド=200円前後で日々の値動きが大きく、英国の政策金利も4%と高くてドルより儲かりそうだったからだ。

「1年目で約1200万円も利益が出ました。その利益を証拠金に回してポンドを買い増したら、2年目にはなんと利益が1億円を突破しました。取引額を増やしているうちに、利用しているFX取引会社でナンバーワンの顧客になって、専用のホットラインまで引いてくれるようになったのです」


■ふて寝を決め込み、朝起きたら損が拡大
しかし、いいことは長続きしない。
資産が10億円のピークをつけたわずか数日後、ポンドが暴落して10億円あった資産が一晩で4億円も減ってしまった。
そこに追い打ちをかけたのが、翌8月のサブプライム・ショックだ。

1ドル=120円超だったドルが同=110円へ、ポンドにいたっては約1ポンド=250円超だったものが同=220円へ大幅な円高となった。
その結果、磯貝さんの資産は9月の段階で3000万円にまで激減してしまったのだ。

「なにせ当時の目標は資産を100億円に増やすことでした。パソコンの画面で自分が損をしていることがわかっていても、『明日には反転するだろう』とふて寝を決め込み、朝起きたら損が膨らんでいる。損切りの決断がつかなかったことが最大の失敗でした」

そして、忘れもしない08年10月9日。
六本木ヒルズに東京国税庁査察部の係官、通称マルサが突然やってきて強制捜査に入った。
単に忘れていただけなのだが、合計4億5000万円の所得を隠し、所得税1億6000万円を免れたとして告発されてしまう。

磯貝さんは国税庁に反省の姿勢を示して税金をまけてもらおうと考え、半年分以上家賃を前払いしてあった六本木ヒルズレジデンスを引き払うことにした。
が、国税庁は甘くなかった。

09年4月1日に地検への告発が報道されてから1カ月後、磯貝商店の事務所の2階の片隅の2畳ほどのスペースで寝起きする生活に移っていた磯貝さんの手元に、六本木ヒルズクラブから会員資格停止の通知が届いた。
「それからしばらく、食事は吉野家サイゼリヤなどのローテーションを繰り返していました」と磯貝さんは話す。

10年3月31日、磯貝さんはさいたま地裁で懲役1年6月、執行猶予3年、罰金3500万円の有罪判決を受ける。
国税庁からは所得税1億6000万円のほか、重加算税6000万円、それに所得税に対する年14.6%の延滞料の納付を求められた。
「延滞料は毎日5万円も加算されていく計算でした。本業で稼いで返していくしかありません」と磯貝さんはいう。


■磯貝清明さんのハイ・アンド・ロー資産形成人生

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[1998年]
父親の死亡保険金1000万円で商品取引を始め、半年でパーに。


2004年
FXの勧誘を受けて、100万円を元手にドルを10万ドル購入。


2005年
FXの利益が1200万円に。六本木ヒルズクラブに入会。


2006年
値動きの大きいポンドへの投資に傾斜してFXの利益が1億円超。六本木ヒルズレジデンスの住人に。


2007年
7月時点で1億ポンドの買いポジションを持ち「日本一ポンドを持つ男」と呼ばれる。資産は10億円。しかし、サブプライム・ショックなどで9月には資産が3000万円へ激減。


2008年
10月9日にマルサの強制捜査を受ける。六本木ヒルズレジデンスを退去。2畳間で寝起きする生活へ。


2009年
4月1日に脱税容疑で東京地検への告発が報道されたことを受け、六本木ヒルズクラブの会員資格停止。


2010年
3月31日にさいたま地裁で有罪判決を受ける。所得税1億6000万円のほか、重加算税6000万円、罰金3500万円を払うため、本業の金属スクラップ販売で汗を流す日々に。

 

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